2021/1/27・店番
階上に住むコナツが店に遊びに来ている。
そして今日も・・・自ら鏡の裏に入り込み、
出られなくなって「クィーン」と鳴くのだ。
仕事への鋭気はふにゃふにゃに折れて・・・
充満する平和な空気のなかで、コナツを抱き上げる。
ふと、
目じりの下がった自分の顔が鏡に映る。
対照的な気持ち悪さに、自らおどろく。
まさ
何かと忙しい都会生活!
それでもダイビングを通じて海を身近に生活してるスタッフ達の不定期日記。
マサシ:
筋肉の貯金はできる
ミカ:
トイレ近い
マイ:
一番エライちび
スズカ:
すぐ寝る。
ユキヤ:
祖父農家 米安定供給
マサ:
脳が硬式野球
2021/1/9-11・田子-IOP-富戸 透明度10-20m 水温17-18度
いつもニコニコ。
ミナミギンポ。
イバラカンザシが作った直径1㎝の筒の中から
顏だけ出して笑ってる。
引っ込まないように、そーっと近づいて、
口元を思いっきりアップで撮ってみよう。
お洒落なブルーのアイラインと優しい口元に、
こちらも笑顔こぼれてしまう。
水深26mのコケムシに、
体長1㎜の緑の点が光ってる。
これはコミドリリュウグウミウシ。
大人になっても2㎝くらい。
なんでこんなに綺麗なんだろう。
紺色の触覚も良く似合ってる。
見つけるのめちゃくちゃ難しい。
やっと見つけても、
一度目を離すとまーたすぐわかんなくなるっ。
甲羅の大きさが1㎝。
ピンク色のソフトコーラル「トゲトサカ」に
紛れ込む綺麗な擬態屋。
何度、自分の目ん玉をポンコツと思ったか。
ハナダイの仲間のフタイロハナゴイは
本当は南の暖かい海で暮らしたかった。
それが、潮流と言う抗いようのない大きな力に
気づけば伊豆半島に流れ着いてしまっていた。
でも、ここ数年伊豆半島の水温暖かい。
これならやっていけるかも・・・。
2月が勝負。
2月の低水温を乗り越えられれば、
無事春を迎えることが出来るね。
成人式の季節に「フリソデエビ」。
すみれ色の紋様が白い反物に良く似合う。
綺麗でかわいいこの2㎝程のエビは、ヒトデを食す。
振袖みたいに見えるハサミでチョキチョキ・・・
ヒトデを切り刻んで食べる。
見た目とのギャップ、大きいね・・・。
この可愛さなら花の蜜とか吸っててほしいね・・・。
浮遊物が雪に見えて、
でもそこにいたのは、
琉球地方を生息域にするハタタテハゼ。
透き通る純白ボディから
熱量を増すように濃くなるオレンジのグラデーション。
ピーンっと伸びた背ビレがピコピコと動く。
そのさまがとてもかわいいハゼの仲間。
同じく南国出身の「アカハチハゼ」
体調10㎝程のペアが動きをシンクロさせて
並走している。
頬をつたうターコイズブルーもさることながら、
うっすらと着色された背ビレと尾ビレの美しさっ。
なにより、いい写真っ!!!
「こいつは珍しいっ。」
記憶にない種だったから、とっさに確信できた。
後にミカに聞いたら、「コクテンカタギですね」と
ドヤ顔で教えてくれた。
その時のドヤ顔も・・・であるが、
このコクテンカタギ、一度は見てほしい。
コクテンカタギの由来は体表の無数の小さな黒点。
でも印象はどちらかと言うと、
白色とレモンイエローの明るいイメージ。
体調5㎝、「シテンヤッコ」の幼魚。
こちらも伊豆では稀種の南国の魚。
成魚になると大きさは20㎝程になり、
その表情には味がある。
平安時代顔。
気になった方は、「シテンヤッコ」で画像検索ね。
オトヒメウミウシ。
縁取る紫を幾重にも変化させていて、
そのデザイン誇るようにヒラヒラたなびかせ移動する。
1.5㎝程の珍しいウミウシ。
よーく見ると濃い紫のドットの周りにも
薄水色のフチドリがあって、ファッションセンス◎
ベニシボリガイが出現するのもこの季節。
水深5m付近で安全停止しながらの、
ベニシボリガイ捜索が始まった。
見つからず諦めかけた時、
その代り・・・というには贅沢すぎる、
この体長4㎝程のミスガイを見つけてくれた。
さて、このミスガイの「目」を見つけて頂きたい。
答えは、IOPの海底-5mの砂地に埋まっているよ。
もちろんこの写真でも確認できますが・・・。
そして最後は「フジナミイロウミウシ」
超希少種を見つけてくれてありがとう!!
夢のケーソンと名付けられた、コンクリートの塊には
びっしりと水中着生生物が覆い、そこに行けば
一度に何種もの珍しいウミウシを見つけることが出来る。
最初、
あまりの小ささに、指差され教えてもらっても
なんの事を言ってるのかさっぱり分からなかった。
体長1㎜。
成体は2㎝。
大きくなって綺麗な模様がもう少し出てくると、
「撮り頃」だろう。
1か月後くらいが狙い目と見ている。
ギラリ。
おそらくこれからどんどん・・・
南方系の生き物で沸いたこれまでの海の中は、
低水温でも逞しく生きられる
生物たちに塗り替えられていくんだろう。
2泊3日。
海底に身を沈め、
その変化をひしひしと肌に感じてきた。
海の中の暦はそろそろ”熱い”冬を迎える。
まさ
2021/1/20・お店番
隣の目黒区から縄張り拡張のため・・・
と言えば威勢がいいが、地元の権力闘争に巻き込まれ
元の住処にはもう居場所がない。
新天地を探し、あちらこちらを歩き回って
昨夜だって夜遅くまでこの辺の奴らに追い回されて
気づけばここにたどり着いていた。
が、
社の軒下さえ貸してもらえず
落ち葉をかぶって寝ることにした。
およそ、
そんなところだろうと推測する。
店番のために少し遠回りし
九品仏(浄真寺)の境内を歩いていると、
2本のご神木(イチョウ大木)がもたらした
ふかふかの落ち葉に隙間なく身を丸め、
右手で光を遮りながら睡眠を貪る
猫を見つけた。
僕らが近寄っても、
散歩の園児たちが側を通り過ぎても、
全く目覚める気配がない。
喧騒よりも、寒さよりも、
眠気が勝るのだろう。
ねこ、
今夜は相当冷えるらしい。
夜露しのげる寝床、
早めに探しときんしゃい。
まさ
2020/12/26-27・田子-熱海 透明度10-18m 水温17℃
年の瀬も差し迫り、海水温もやっと・・・
17℃台に下がってきた。
陸上は未曽有のパンデミック。
海中は未曽有の高水温。(深部は知らないが・・・)
海の中の暮らしも激動だったと推測する。
恩恵を受けるもの、受難のものがくっきりと分かれ、
伊豆の生態系はたった一年で見たこともない種の出現や、
既存種の衰退などが見られた。
このアカスジウミタケハゼも本来は南方種。
今や伊豆の至る所で普通種として観察出来る。
本来南国の代名詞・ハードコーラル(いわゆるサンゴ)
が伊豆の浅瀬を覆い始め、そこを宿主・生息域にする
フタスジリュウキュウスズメダイ、モンスズメダイ、
イシガキスズメダイ、アオスジテンジクダイ、
メガネゴンベ、ホシゴンベ、アカハラヤッコ、
タテジマヤッコ、などなどなどなどなど・・・・
今まで伊豆で目にすることはなかった南方種の
名前を挙げればキリがない。
その昔、
巨大な隕石が衝突して、
地球上の75%の生物が死滅した後に今の我々があるらしい。
陸も、海の中も、激変の繰り返し。
生き残りをかけて戦い、種の保存を目的として
進化やそのための営みを停めることは出来ない。
伊豆の海も潜り収め。
丘の上にも、海の中にも、
それを教えてもらった一年だった気がする。
恩恵も災難も受け入れて、
逞しく生きる生き物たちを仰ぎ見る。
今宵、
すぎ屋さんのおいしいご飯に唸り声をあげながら、
僕もその営みを停めることなく、粛々と・・。
ことしもたのしかった。
伊豆の海、
みなさま。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
まさ
2020/12/14-15・熱海-IOP 透明度12-18m 水温20℃
熱海の ”ビタガ根” にまっしぐら。
”沈船”に向かうマサシ達には一瞥もくれずまっしぐら。
もう僕たちの頭には、この ”ボロカサゴ” しかない。
気がはやり過ぎて一人でどんどん潜降を続ける
せっちゃんを何とか制止しつつ・・・
ビタガ根方向に降りていった。
途中、老成したウツボが力なく横たわっていた。
おそらく、
数時間後には有機物として他の生物達の糧となるだろう。
「ここまで立派に成長し、よく生きてきたね」
ウツボの身体をなでて称え、心の中で手を合わせた。
と、そうしてる間もせっちゃんソワソワ。
「ボロカサゴ」しか眼中にないのだからさもありなん。
その先5mのところに、「彼」は居た。
精巧な紫の模様を散りばめた、お洒落な衣を纏いて
海底に鎮座していた。
息をのむ美しさに感動すら覚える。
誰がこんな美しい魚に「ボロカサゴ」なんて名前を
つけたのか・・・。
ハゴロモカサゴとか、アナスイ(ANNA SUI)カサゴとか、
どうであろう??
あらゆる角度からの撮影会が始まった。
出逢えるチャンスはめったにない、
このうつくしい希少種を囲んで、
カメラと脳裏にその姿を焼き付ける。
そしてこのダイビングでも一つ記念すべきことが。
イシムラさんの700本。
僕の大物運の無さは御周知の事と思うが、
僕が”影”ならイシムラさんは”光”。
マンボウやハンマーヘッドシャークなど
はずしたことがないと言うくらいの強運の持ち主で
何度あやからせてもらった事か・・・。
たくさんの思い出と強運のおすそ分け、
今まで本当にありがとうございました。
なかなか独り立ちできる気がしないので・・・、
これからもお慕い申し上げますっ。
記念日に、記念すべき生物に恵まれた熱海。
沈船や洞窟ポイントが取りざたされることが多い熱海ですが、
”ビタガ根”や”ソーダイ根”の方がむしろ生き物的には面白い。
みずきお手柄のクダゴンベ。
ソフトコーラル群が広がる-20m付近の海底は起伏に富み、
生き物たちの密度が一気に上がる。
マツカサウオやら、各種甲殻類、サクラダイの群れ、
ガラスハゼやスケロクウミタケハゼなどが
ソフトコーラルに多く着生している。
巨大なソーダイ根の逆側の斜面を下っていくと、
そちら側の地形はさらに切り立ちハナダイの仲間が
乱舞している。
3本目、そちら側に降りていくと
スジハナダイやナガハナダイが求愛し、
縄張りを巡って争い活発に動き回っていた。
フタイロハナゴイも見つけたし、
キツネベラの幼魚も発見!シテンヤッコの幼魚もいて、
ダイブコンピューターが帰りを促してくれなければ
危うい所だった・・・。
ビタガ根とソーダイ根で3本。
たっぷりと遊んで、夕陽しずむ田園風景を眺めながら
修善寺へと帰る。
そう今日はお泊り♪
熱海での撮れ高と、700本の歴史と、
すぎ屋の美味しい手料理を肴にして、
2020年潜り収めの夜は更けていく。
二日目のアフターダイブは、小田原のイタリアン。
女子大喜びテラミス添えで。
まさ